(前略)
それが要請者から伝わって初めて、頭での理解は心からの納得に変わり、人は動く。
今回発出された緊急事態宣言はどうか。
感染の主原因は“飛沫”であることが科学的に立証され共通認識となっており、それを拡散させないよう法的に(せめて条例でも)規制をかけることが何より先決だと思うのだが、マスクを着用せず他者との距離も取らず飛沫を拡散させる明らかな危険行為は、私権の制限に抵触するからという理由で、相変わらず野放しのままだ。
健康増進法を一部改正したいわゆる「受動喫煙防止法」により、副流煙の曝露を防止する取り組みが法的に実現している日本で、受動喫煙とは比較にならないほど危険性が高い飛沫曝露がなぜ法律で防止できないのか、まったくもって理解に苦しむ。
その一方で、飛沫拡散リスクを極限まで減らして、これまで努力と我慢を続けて来た多くの人々の生活や健康が、さらに無意味に脅かされて行く。
各店舗やイベントでの感染リスク低減の努力や達成度の違いなどはまったく無視して、政府はどの施設にも一律に大規模な休業要請を発出し、飲食では特にアルコールを狙い打ちにした。
このままでは施設や店の経営者や従業員だけでなく、関係するあらゆる業種、さらには農畜水産業までもが連鎖して皆息絶えてしまう。
さらに協力金や事業支援金の少なさや支給の遅れが犠牲に輪をかけ、要請する為政者への不信感に拍車をかける。
たとえば、顧客の多くが高齢者で感染対策にも万全を期している老舗百貨店にも休業要請を行いながら、協力金は一日たった20万円だという。